第15章 緑とオレンジ
心結はA組で高尾と緑間はB組。
そのため二人と話す時間は部活の時くらいしかなかった。
久しぶりに、約1年ぶりに母が帰ってくる。
やっと会えるんだ。
そう思うと嬉しくてワクワクした。
心結の母は長いことアメリカにおり、そこでずっと一人で仕事をこなしてきた。そのため日本に帰ってこられる時間はほんの少しと限られていた。
この話を聞いたら高尾も喜んでくれるだろうし、緑間にも伝えておきたい。
そして、あわよくば……
だからゆっくりと、部活が終わった時にでも二人に話しておきたかった。
「お疲れーっす」
今日も部活の時間が終わり、皆それぞれに部室へと戻っていく。高尾と緑間もボールを片付けて戻ってきた。
「さーて、早く帰ろーぜー」
高尾は汗を拭うと、ボトルに入っているスポーツドリンクを飲み干してから言った。
緑間も後に続いて体育館を出ていく。それに続き、また心結も体育館を出た。
体育館を出ると、外の風が冷たくてなんとも心地良い。
夢もちょうど部活を終えたタイミングだったらしく、下駄箱で鉢合わせした。
いつものように四人で校門を出ると、もう外は既に暗くなりかけていた。
「そういえばね!聞いて!」
「んー?」
勢い余って心結が言うと、三人は一斉にこっちを見た。
「お母さんがね!帰ってくるの!」
「え、マジ!?よかったじゃん!」
「そう!1年ぶりに!」
想像通りに高尾は喜んでくれた。
夢も喜んでくれ、緑間も「よかったのだよ」と声をかけてくれた。
「で、いつ帰ってくんの?」
「来週って言ってた!」
「おっけー母さんにも伝えとくわ」
「うん!」