第14章 Beat
「それより…おめで、とう」
「緑間くんありがとうっ」
本当によかった。
これでやっと夢の想いが実る。
なぜだか自分のことのように嬉しい気がした。
「まさかお前に交際相手ができるとはな」
「なんでそんなに驚くの!?真ちゃんに言われたくないんだけど!?」
「バカなお前なんかが…」
「うっさい!」
二人の言い争いを笑いながら見ている夢。
とても微笑ましく思えた。
「とにかくこれを伝えたかったんだ。心結と真ちゃんも言ってくれたしな」
「ごめんね、わざわざ」
「ううん!大丈夫!」
とりあえず大事な話が済んだところで、時刻は既に7時近くなっている。
高尾は時刻を確認し、スマートフォンをポケットにしまった。
「じゃ、そろそろ帰っかー」
「うん!」
そう言って荷物を抱えて歩き出す三人。
不意に思い出す。
互いに恋人同士だということ。
「なんかヘンなかんじ…」
「なんか言った?」
「なんでもない!」
互いに恋人同士になったのだと自覚し、ヘンな感じがして少し恥ずかしくなる。
ここ数ヶ月で色々ありすぎて、頭がパンクしそうだ。
「高尾」
「んー?なにー?」
「言っておくが学生というものはまず第一に学業とバスケだ。それを忘れるな」
「いや、その言葉そのまま真ちゃんに返すわ」
「バスケに支障があったらいけないよね」
コクリコクリと頷く緑間。
真ちゃんは文武両道だからなぁ、と心の中で思う。
「大丈夫だって!」
そんな他愛のない話をしながら、4人は家路についた。