第14章 Beat
「高槻が!部活中ぶっ倒れたんだよ!」
一瞬、何を言われたか分からなかった。
その日は放課後に委員会があって、高尾はいつもより大幅に遅れて体育館へと向かった。
すぐに終わると思っていたのだが、思いのほか委員会が長引いてしまった。
急いで体育館に入ると、なぜかいつもとは違う雰囲気な気がした。
あいさつをして中に入ると、近くにいた同い年の部員が高尾の顔を見て焦った顔をした。
入ってくるなりこう言う。
「高槻がぶっ倒れて今保健室に…」
聞き間違えたのかと思った。
一瞬、その言葉の意味が分からなくて、また問い返しても返ってくる言葉は同じ。
とにかく訳が分からなくなって、気が付いたら足が動いていた。
心結
心結
心結
どうか、何事もなく笑っていてくれ。
体育館から保健室まで無我夢中で走った。
保健室まではそんなに距離はないはずなのに、焦りと不安で息が上がっていた。
やっとのことで保健室に辿り着き、中に入ろうとすると扉が少し開いていた。
中を見ても先生はいないが一つ、真っ白なカーテンに閉ざされたベッドがあった。きっと、ここに心結がいるのだろう。
カーテンを開けようとすると、不意に中から小さな声が聞こえてきた。
「やはりオレは、高槻が好きみたいだ。」