第13章 Heart
「なら、オレも同じなのだよ。」
「え?」
「オレはお前のことを迷惑だなんて思ったことはないし、自分勝手だとも思っていない。むしろ頼りにしているしいつも感謝している。だからそんなことで自分を責めるな。」
「………っ」
「分かったか?」
「…うん。ありがとう!」
心結はまた滲んできた目元の涙を拭った。
「…それにしても真ちゃん……」
「なんだ」
「そんな恥ずかしいセリフ、よく言えるね…ッ」
「…笑うな。」
緑間の顔がみるみる赤くなっていくのが分かる。
それが面白くて、また心結は笑った。
普段じゃ絶対見られない表情を見せてくれる。
きっとこれは、わたししか知らない。
それが嬉しくて、幸せで、心結はまた心の中で好きと呟いた。
秀徳高校に入学した頃はあんなに嫌いで同じ学校でさえ嫌だったのに、今はチームメイトどころか大好きで大切で、特別な存在になるなんて誰も想像していなかったことだろう。
きっと、それは緑間も同じなはず。
「それより真ちゃん」
「なっなんなのだよ!」
「部活、戻らなくていいの?」
「もう今日はいい。ここにいさせろ。」
「真ちゃんが部活サボるなんて珍しいね。でも、ありがとう。」
「今日の運勢は最高なのだよ。だから少しくらい大丈夫だろう。」
「ほんとに?後で監督とかみんなに怒られちゃうよ」
「問題ない。ラッキーアイテムもあるのだからな。」
本当は、高槻のことを聞きつけて心配して様子を見に来た監督に「お前がそばにいてやれ」と言われたのだから問題ない。
だがそれは言わないでおくのだよ。
「怒られたら最悪な日になっちゃうよ〜」
「お前とこうなれたのだから、間違いなく今日は最高の日なのだよ。」
「え、なに?聞こえなかった!」
「なんでもない。」
「えええ?」
『蟹座のあなた!今日は堂々の1位!ラッキーアイテムを持っていればさらに運気は上昇で好きな人と劇的な進展があるかも!?』
やはり、おは朝は最高に当たる占いなのだよ。