第13章 Heart
その時のことはよく覚えていない。
面と向かって西堂の顔を見られなかった。
でも、心結の名前を出した瞬間、西堂は驚いたような、ショックを受けていたような、涙が頬を伝っていたような気がした。
やっぱり、ショックだったんだ。
「……心結ちゃんなら納得。……高尾くんの気持ち知ったらきっと心結ちゃん喜ぶよ!」
「…………………」
「……頑張ってね、わたし応援してるから!…だから、今日のことは忘れてください。ごめんね、ありがとう。……じゃあまた学校でね!バイバイ!」
夢はそう言うと、声をかける暇もなく走って公園を出て行ってしまった。
高尾はしばらく、暗闇の中走り去っていく夢の背中を見つめていた。
ごめんな、西堂。
それでもオレは、心結が好きなんだ。
この想いを無駄にしないためにも、やっぱり明日言うしかない。
部活が終わって、二人きりになった時に言うんだ。
今まで誰にも打ち明けなかった想いを。
心結への想いを。