第10章 思い出
ピッ。
ガードキーが青く変わったのを確認して、静かにノブを下ろす。小さくカチッとなったと思ったら勢いよくドアが開いた。
菜穂:「おはよーぉ♪おかえりぃ♪まだ二人は寝てるんだけどぉ、どこ行ってたの~???」
満面の笑顔で私を見てる菜穂ちゃん。
依公子:「菜穂ちゃん!おはよー…は、早いね…」
スタスタと部屋へ入る私にぴったりくっついて、菜穂ちゃんがニコニコ笑顔で
菜穂:「こんな朝早くからどこ行ってたの?」
と、二人を起こさないように小さめの声で聞いてくる。
依公子:「ん?新聞もらいに?」
菜穂:「どこに新聞?」
依公子:「えっと…」
隠しきれない気がして来て、菜穂ちゃんに、
依公子:「絶対誰にも言わないって約束してくれる?」
菜穂:「当たり前でしょ!私達、友達だよ?付き合い短いけど信用してよ!」
依公子:「うん。ごめん。菜穂ちゃんにだけしか話さないから、由実ちゃん達にもナイショにしてね?」
菜穂:「ん♪分かった。でももうなんとなく分かっちゃった♪そんなに心配しなくても、誰にも何も言わないよ♪良かったね♪羨ましい~♪」
肘で私をつつきながら、笑ってお湯を沸かす準備を始めた菜穂ちゃん。
何も聞かないでくれてありがとう…