第3章 C'est la Vie/×ラビ(D.Gray-man)
「貴方は、私の名前を呼んでくれるから。」
柚香は目をアーモンドのような形にして笑う。
「ここに来る人たちは、私のことなんてどうでもいいのよ。皆それぞれの想い人だったり、果てにはママの名前を呼びながら私を抱く奴だっているわ」
彼女は肩をすくめて、呆れたと表現する。
べぇっと真っ赤な下を覗かせて、「気持ち悪~い」と言った。
まるで歳相応の、潔癖な思春期の女の子のようだ。
「ラビは私を私としてずっと覚えていてくれるんでしょう? 今の私には、それで十分よ。家族もお金も何も持っていないんだもの。私が生きた証として……貴方の記録に残ることが出来たなら、それで幸せ」
C'est la Vie――人生なんてそんなものさ、と彼女は呟く。
一体この戦争で、いくらの人間が彼女のように全てを失ったのだろうか。
いくらの人間が死に、犠牲になるのだろうか。
ラビの記録に残るのはただの数値だけで、それはあまりにも機械的すぎる。
コムイは、死んだ教団の人間全ての名前を覚えているのだろう。
ブックマンは歴史物語を書くわけではないから、そこに戦争の被害者である慰安婦一人の名前を連ねることなど、きっと許されない。
しかし彼はその記録を本にする時、締めの言葉はこう綴るのだろう。
『C'est la Vie、そう言った君に捧ぐ』
fin.
バレンタイン関係あったの?ってかんじでごめんなさい。
この主人公はとても頭がいい設定です。そう思っといてください。