第10章 地下へ
なぜか知らないが、強制的に戻された。
私にとってはついさっきだが、彼女たちにとっては一週間前のことらしい。
それに私は“戻った”だけだが、彼女たちには――特に菊には――突然勝手に“消えた”のだ。
彼はいらぬ心配に、胃をキリキリさせているかもしれない。
「……すみません」
「本当に心配したんだヨ! そこの銀髪さんに変なことされなかった? あ、そだ下着は――」
「あああああああああわかりましたありがとうございますありがとうございます!!」
キョトンとする湾ちゃん。
ちくしょう、可愛いから許す。
ギルは早速、一人で少し遠くのモニターをいじっていた。少し放っておこう。
「そのですね、私にもよくわからなくて……。急にもとの世界に戻された、といいますか……」
「戻されたってなににあるか?」
訝しげな耀の問いに、私は首を左右に振る。
そんなの私が聞きたいって。
……わからないことばかりだ。
じわじわと音もなく忍び寄るような、そんな恐怖が胸をざわつかせる。
けれど、
「なんにせよまた会えて嬉しいヨ!」
「私もです」
彼女の温かい笑顔に、自然とほほが緩んだ。