• テキストサイズ

【ヘタリア】周波数0325【APH】

第44章 Aiming for an “APPLE”


『う、うん! 電波塔までの最短ルートとデコイコントロールですね!』

「よし。ヒロイン救出とボス撃破のパーティーとしちゃ、バランスが微妙だけども……」

ヨンスが私とエドの顔を見る。

いつもの調子に戻ったように、いや、むしろ普段より元気そうに振る舞う彼に、気づいた。

それは精一杯の、空元気なのだと。

瞳の奥がどうしようもなく、悲嘆と恐怖に暮れていたから。



――香くん、

――あなたを救わなければ、ヨンスは潰れてしまう。



「作戦、開始」

ヨンスはそう言って、にぃ、と唇の端を吊り上げた。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「どうなってやがる!」

「わかりません……私の専用回線も通じません。アルフレッドさんのも通じないようです」

「つーーかあのクソ髭どこ行った!?」

運転手を務めるアーサーは、今にもクラクションを鳴らしかねない勢いだった。

助手席の菊は、そんな彼をまあまあと諫める。

ニューヨークの街は、そこらじゅうでサイレンが鳴り響いていた。

その耳が痛くなるような騒音に負けないくらいの声量で、アーサーが怒鳴り声を上げる。

アーサーの極限まで苛ついた表情は、彼が菊の前ではあまり見せないものだった。

それだけ事態が深刻なのだろうと、菊は奥歯を噛み締める。
/ 465ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp