第43章 In the Ghost town
ハッとヨンスが目を覚ます。
と同時にガバッと起き上がろうとしたので、慌てて優しくベッドに押し戻した。
上半身だけを起こしたヨンスの呼吸は荒く、肩で息をしている。
汗びっしょりで、酷い悪夢からやっと覚めたようだった。
「大丈夫? だいぶうなされていましたけど……」
「…………」
瞳も表情も、憔悴しきっていた。
その顔が、ゆっくりと私の方に向く。
今にも泣きだしそうに、ヨンスの眉が歪む。
「俺が……もっと慎重に、もっと調べていたら……」
「起きたばかりで申し訳ないのですが、どういう状況なんでしょうか?」
後ろから気遣わし気に声をかけたのは、エドだった。
手には替えの濡れタオルを持っている。
ヨンスのおでこから落ちたものと交換するためだ。
私とエドが到着したとき、ヨンスは頭と肩から血を流していた。
身を守るようにナイフを握りしめていたが、数秒ももたず倒れ、気を失ってしまった。
すぐに、私が探し出した救急箱を使って、エドが手当をしてくれた。
深手ではないようだったけれど、熱もあるようだし、何より精神状態が普通じゃない。
そもそもプログラム内で怪我をするのかとか、なんで救急箱の位置が私の記憶とおりなのかとか、疑問は新たに追加されるばかりなんだけど――。
そんな「?」だらけの私を察してか、エドはゆっくりと話し始めた。