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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第43章 In the Ghost town


試しに叫んでみれば、天の声(エドァルド)はすぐに答えた。

どっから見えて、聞こえてるの!?

息も絶え絶えに走る、が、

「あぐっ」

足を何かに搦めとられ、盛大に前にすっ転んでしまう。

擦りむいた膝と足首が、カッと熱を帯びる。

見れば、黒い靄が私の足首にまとわりついていた。

それは、手の形をしていた。

「ひ……ッ!」

熱い。熱い、痛い怖い。

振り払おうとするが、今度は振り払おうとした手に靄がまとわりついた。

足をバタバタ動かし、なんとか立ち上がろうとする。

しかし、黒い靄はゆっくり質量を持っていくように、足の自由を奪っていく。

立ち上がるという、それだけの単純な動作なのに。

足の裏が地面に糊付けされたように動けない。

頬を掠める風が妙に熱い。

頭上に影が差す。

視線を上げれば、そこには“黒い人型”が、私に覆いかぶさろうとしていて――

「伏せてっ!」

ぶわっと、すぐそばを風が吹き抜けた。

ダンッ! となにかが地面に叩きつけられる音。

いつの間につむっていた目を恐る恐る開く。

前方に黒い人型が倒れていた。

そして、景色が急加速する。

「ふぎゃっ!?」

「不躾にすみませんが、掴まっていてくださいね」

小さな予感のとおり、私はエドにお姫様抱っこで抱きかかえられていた。
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