第43章 In the Ghost town
とっさに横に転がり、すんでのところで避ける。
一瞬前まで私がいた場所に、“黒い人型”がドンッと倒れこんできた。
そいつはしばし身体の動きを止め、立ち上がろうとぎこちなく上半身を起こす。
その動きは、操り人形を連想させた。
「~~っ!?」
なんだこいつは!? ヘタリアにこんなキャラいなかったぞ!?!?
キャラというか、黒い靄を圧縮して、無理矢理人型に押し込めたように見える。
しかもホラーというか、ちょっとゾンビじみた動きをしている。
そのとき、目の前の中空にフォンと“ディスプレイ”が現れ、
「星マークのところへ逃げてくださいっ!」
大音響が耳をつんざいた。
目の前で星が飛び散ったような錯覚を覚えるが、反射的に足が走り出す。
彼らの世界に来てから、こんなふうに誰かの掛け声で逃げ出すのはお手のものだ。
エドァルドの言葉通り、目の前の空中に浮かぶディスプレイには、地図と星マーク、それから青い丸が映し出されていた。
中央にある青い丸は、多分私だろう。
このディスプレイ、私が走っても目の前に固定されているし、触ると通り抜ける。
こういうの、SF映画とかで見たことある。
エドァルドの声も、どこか天井にでもスピーカーがあるかのように聞こえてきた。
無論、上空にあるのは曇り空のみである。
「あの人は!?」
「わかりません! とにかく走って!」