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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第42章 諸刃の刃の切っ先で 


「このプログラムに“同期”しなければ、1時間以内にプログラムが自己破壊します。だから今すぐ、誰が行くか決めないといけません」

重々しい声で、ライヴィスが言った。

真剣そのものの顔で、瞳に悲愴ともいえる陰を湛えていている。

あの手形に触れたら、このディスプレイの中へ――ゴーストタウンへ飛ばされてしまうのだと、本気で言っている。

「私に行かせてください」

それを見ていて、自然と一歩前に歩みだしていた。

とたんにエドに止められる。

「だっ、ダメですよ! 何かあったら――」

「だからこそ、です。国である皆さんに何かあったら、国民はどうなってしまうのですか?」

「っ!!」

「私と皆さんでは背負っているものの重みが違います」

命に優劣などつけられないが、これは事実だった。

異変真っ最中に国である彼らになにかあれば、その国民にどんな影響があるかわからない。

「それに、私、異世界人ですし、なんとかなりますって!」

笑顔を浮かべてみせるが、3人は言葉を詰まらせたままだった。

「それに皆さんのサポートもある。ヨユーですよ!」

“double edged sword program”

私がまだ私の世界に戻されていない理由が、わかった。

彼に託された“これ”で、何かを成さねばならないのだ。

それが、行使する私の手までもを切り裂くものだとしても。



――――


――


……手形に触れる。

青白い光の中に、手が沈みこんでいく。

デバイスはひんやりと冷たく、その冷気が触れた指先から染み込んでくる。

一瞬クラっと目眩がし、次に目を開いたときには、

「え――?」

黒い靄をまとった“人”が、私に向かって拳を振り下ろそうとしていた。
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