第42章 諸刃の刃の切っ先で
頭を抱えたまま、ライヴィスは手形が浮き出たデバイスから距離をとる。
「ブルースクリーンの文章からすると、このPCは“double edged sword program”を実行中で、この手形のデバイスは、そのプログラムに入って“同期”できるものなんです」
「なるほど、それで画面の中に行っちゃうと」
エドァルドの言葉も耳をすり抜けていった。
double edged sword program――確かに、ライヴィスはそう言った。
「そのプログラムって? O・N・ネウが言ってたのとどういう関係があるんだろ?」
と、トーリス。
「んと……すみません、そこら辺意味不明な単語や文字化けとか色々あって、読み取れませんでした。でも、sourceやdebugとった単語がありましたので、それに関わるものだと思います」
「え!? まっ、まさかやっぱりこの機械がAPPLEだったってこと!?」
「わかりません……そもそも、全てのマシンを統べるもの、なんてトンデモ科学じみたものがあるとは思えませんが……」
トーリスとライヴィスの会話は、ちんぷんかんぷんであった。
ソース……? トンカツソースしか思い浮かばなかった自分が情けない。
よくわからないが、手形に触れると、画面の中のゴーストタウンに行けるということらしい。
というか、アップルとは何だろう。
あのMacでiPhoneな会社が思い浮かんだので、エドァルドに尋ねてみると、
「僕は聞いたことがありません」
「私の世界では、誰でも知ってるような、電子機器とかいろいろ作ってる巨大企業なんですが……」
「公子さんの世界にあって、僕たちの世界にはないもの、ということでしょうか」
なんてことだ、こんなところにも差異があるとは。