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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第40章 疑心または月夜にて


「公子、きみは――」

RRRRRRRRRRRRRRR

アルの言葉を遮って、携帯がけたたましい着信音をあげる。

びくっとしたのちに、ハっとしたようにアルがポケットを探った。

明滅する光は、アーサーからの着信を知らせていた。

「もしもし」

『アル!? マシューがいた!』

「……え?」

走りながら大声で話しているらしく、声がだだもれだ。

怒鳴っているようにも聞こえるアーサーの声にも驚くが、それ以上に、マシューの名前を聞いた瞬間アルの顔が明らかに変わったことに驚く。

顔がこわばり、瞳には混乱がありありと浮かびあがっている。

『デパート付近の歩道だ! 今追ってる!』

「――す、すぐ行く!」

「ちょっアルフレッドさんどこへ!?」

話しながら駆け出したアルを止めることもできず、菊は叫んだ。

騒ぎに気づいた国々は、部屋を飛び出すアルを茫然と見ている。

その中で、菊がガタン! と音を立てて立ち上がった。

「行きましょう公子さん!」

「えっ、あ、はい!」

「あのアルフレッドさんを一人で行かせるのはまずい気がします……!」

捻り出すように呟いた菊の言葉に、頭の端で警鐘が鳴り始めた気がした。
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