第39章 錯綜と進む針と
「はぁ~わかんないかなぁ。こういうときこそ、こういう息抜きが必要なんだって。そうじゃなきゃ、いつかどこかで潰れちゃう」
「そうですかそうですか、すげー楽しい息抜きをどうもありがとうクソ髭ワイン」
「ったくかわいくないわ~! まあ、あの会議場の雰囲気より、その眉毛の方がマシかもね」
肩をすくめるフランシスに、少しばかり同意した。
劇的な解決策も、根本的解決方法もなく、どこもぎりぎりの対症療法で“異変”を凌いでいる。
そんな張りつめたか細い糸は、いつ弾けてぷちんと切れるかわからない。
公子の不在期間が、今までで一番長くなっているせいもあるだろう。
思えば、大きな進歩があったのは、彼女の出現前後が多かった。
けれど、この状況で彼女が現れることは、彼女自身にとってよくないのでは――
そんな不安も、アーサーは感じていた。
「せっかくだし坊ちゃんの服も見繕ってあげようか?」
「結構だ」
「そんなこと言わず、お兄さんのスーパーコーディネートで疲れを癒されなさい」
「いいっつってんだろ!」
フランシスが全力で遊んでやろうという顔で迫ってきたそのとき、携帯が鳴った。
メッセージを確認した途端、思わず目を見開く。