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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第37章 第二部 プロローグ/プログラム起動


真っ暗な空間に、自分の足音だけが響く。

懐中電灯を手に、アルフレッドは廊下を歩いていた。

時刻は23時。

研究施設はすでに閉まっており、彼のほかには誰もいない。

電力システムも休止していて、手元の光だけが頼りだった。

「う……そう考えると怖くなってきたんだぞ……」

弱気なひとりごとが廊下に残響する。

いかにも何かが出そうな角をまがり、階段をのぼった。

ぼわっと暗闇を抱えた踊り場が現れ、思わず息をのむ。

「……早く忘れ物とって帰ってゲームするんだぞ!」

ここのところ調査続きで、ろくに遊べていなかった。

おかげで菊に借りたゲームの返却期日が、一年四か月ほど過ぎてしまっている。

一人で遊ぶのもなんだし、マシューにも遊ばせてあげよう。

きっと素晴らしい気分転換になるに違いない。

いい考えだ、とひとり満足げに頷きながら、目的の部屋への、最後の角をまがる。

「……え?」

目に入ってきた光景に、無意識に声がこぼれていた。

自分の目を疑い、それから上司の言葉を疑う。

――ある部屋から、青い光が漏れだしていた。

人の気配もする。

キーボードを叩く音や、機械の作動音もかすかに聞こえた。

上司の言葉が正しく、かつ、ホラーな事態でないなら――

(……侵入者?)
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