第4章 夢かうつつか?
「なぜそう言えるんです?」
「私の知ってる内容、つまり物語に、そんなおかしな事件は含まれていません」
「これから書かれる内容なのでは?」
「……ジャンル的にありえなさそうです。“ToLoveる”が急に“NARUTO”みたいなガチバトル漫画になったらおかしいですよね?」
「なるほどそれは納得」
即答され、私は思わず苦笑してしまった。
しかし、真剣な顔に戻って続ける。
「推測ですが、言うなれば別世界、別次元の平行世界から来たかんじ……でしょうか」
「パラレルワールドみたいなものですか?」
「はい」
菊は理解しがたいと言うように首を捻った。
そりゃそうだ。言ってる本人が信じられないんだもの。
「まぁ……最近おかしなことばかりですから。別世界からの訪問者が現れても、おかしくないのかもしれません」
ほとほと困り切った表情で、そう笑った。
言葉の羅列がおかしかったが、その目元にうっすら浮かぶクマを見て笑えなかった。
彼の家に亜細亜組が集まっていたのも、その問題解決のためなのだろう。
――なにか、
「私にできることはありませんか?」
無意識に言葉がでていた。
思いつきのように転がりでたそれは、すぐに脳を駆け回り始める。
「私には高度な知識も処理能力もありません。でも、菊さんの本業をわずらわせる雑用ならできます。それに――」
声を挟ませずに、私は続けた。
「私が元の世界に帰るのに、関係あるかもしれません」
――“私”というイレギュラー要素は、おかしくなっている世界に関わらない方がいいのでは?