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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第1章 プロローグ


いる。

誰かが、いる。

「……っ」

サーッと血が凍りついていく。

嘔吐感は和らがない。

心臓があるかと思うほど、こめかみがズキズキと脈打つ。

でも、なにが起きたのか確かめなくちゃ――!

バッと顔をあげ、ひらける視界。

途端私は、目を見開かずにはいられなかった。

情けなく口が半開きになり、まばたきはおろか呼吸さえ止まる。

『あぁ、これはマズい』と誰かが耳元で呻く。





目の前には黒髪の青年がいた。

風呂あがりで、全裸の。





「…………え」

炭酸の抜けたソーダのような声が、やっとこぼれた。

あまりに信じられない光景。

我が目を疑う。

この人って――

不意に、視界がせまくなった。

体のどこにも力が入らず、足がもつれる。

「――――」

なにかを言われた気がした。

けれど私は、そのまま意識を手放した。
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