第27章 By the turning point
それからトリップの方法を説明して、(と言っても、ラジオを付ける・めまいに襲われる、くらいしかわかることはないが)戻ることとなった。
翌日、正確に言うと今日は月曜日。
トリップがためらわれたが、
「大丈夫大丈夫」
と太鼓判を押すギルを信じて、トリップを決めた。
ギルを家に残す、という世紀末的どころか宇宙の終焉的な選択を余儀なくされるのだ。
それだけは、避けねばならなかった。
「離しちゃだめですよ」
ギルは返事の代わりに、しっかりと手を握ってくる。
ラジオを手に取った。
初めてトリップしたときから、周波数もとい局番を変えていない。
電源に手をかける。
南無三! な気持ちで電源をつけた。
「っ!」
途端ひっくり返る世界。
全ての音がノイズにかき消される。
確かな感覚はギルの手の温かさだけだ。
脳髄をシャッフルする目眩のあと、唐突に足の裏に触覚がうまれた。
「う……は、吐きそう……」
「……公子ちゃん!?」
ギルの嘔吐感あふれる声と、エリザの声が聞こえた。