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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第26章 電波塔クラスレート


どしゃ降りとはいかないまでも、外は結構な雨が降っていた。

ギルにレインコートを被せ、足早に歩き出す。

考えることばかりで余裕がなくなっていた。

だが今は、もっと大切な、優先すべきことがある。

家に誰もいないうちに帰ることだ!

「おい、ちょっと待て」

突如肩を止められる。

なにかと思えば、ギルが家とは違う方向を指さしていた。

「寄りたいとこがある」

「えぇっ!? で、でも時間が――」

「つべこべ言ってんじゃねーよ、ついて来い!」

横暴にもそう宣言すると、私の手首を乱暴に掴んで、さっさと歩き出してしまった。

寄りたいとこって、一体どこへ行くというのやら。

近所のお団子屋さんとかだったら、向こうでルートとエリザにしばいてもらおう。

ギルの足取りは、たしかな目的地があるようだ。

迷いなく進んでいるが……あなたここでは異世界人ですよね?

そんなことを思っているうちに、ギルの足が止まった。

そこは、思いもよらない場所だった。
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