第25章 雨の中へ
「……きろ……おい」
肩をかるく揺さぶられる。
遠くでくぐもっていた声が、だんだんと近づくにつれクリアになってきた。
心地よい微睡みが、その呼びかけにかき乱される。
「起きろって#公子」
「……んん……?」
目をうっすら開くと、せまい視界でギルの顔がぼやけていた。
ゆっくり顔をあげ、体を起こす。
伸びなどしてみると、もやがかった脳が次第にシャッキリしてきた。
「――って、眠っちゃったんですか私!?」
ハッとして小さく声をあげる。
胸に空気が詰まっていて、引きつるように首が痛かった。
どうやら机に突っ伏して、スヤスヤしていたらしい。
情けない、ギルがあくせく調べてる隣で居眠りとか……
「疲れてんだろ。悪いな、連れてきちまって」
優しい声色にさらに申し訳なくなる。
ふと見えた壁掛け時計は、16時すぎをさしていた。
図書館についたのが14時間近だったから……2時間近く居眠っていたことになる。
いくらなんでも寝過ぎだ。
というかマヌケな寝顔を見られたんじゃ――
「いつくか確認したいんだけどよ、この世界に宇宙人とかいんのか?」
「……はい?」
あれこれ頭を悩ませる私に、そんな素っ頓狂な質問がふっかけられた。