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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第3章 月夜にて


その後、公子は再び眠りについた。

そうせざるを得なかったのもあるだろう。

部屋に残された湾と香も、しばらくしてから出てきた。

今頃ヨンスと遊んでいるはずだ。

一方菊と耀は、リビングで手元の書類と格闘していた。

「あの娘、どう思うあるか?」

ふと、どことなく上の空で耀が尋ねた。

「私は信用できる方だと思います」

「自国の民だからって贔屓目なんじゃねーあるか」

「ふふ、そうかもしれません」

窓の外、川に沈んだ満月に目をやって、菊は微笑む。

時刻は22時をまわっていた。

散った花びらが、濃紺の川面で淡く白んでいる。

僅かに開いた窓からは風とせせらぎの音が入りこみ、それが時計の秒針の音と重なった。





公子が現れてから、既に4時間が経つ。







「あなたこそどうなんです?」

「……わかってるくせに聞くなんてやな奴ある」

「すみません、にーにーと呼ばれたことが余程嬉しかったようで」

「わっ笑うんじゃねーある!」

なぜ公子が耀をにーにーと呼んだのか。

しかし菊には、なんとなくわかり始めていた。
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