第2章 邂逅と眩暈と
「先生俺も――」
と、香くんが二人に続こうとする。
だが亜音速で耀に袖を引かれ、
「香はこれ以上湾が公子に変なことしないか見張ってるある!!」
「なっ!?」
そう耳打ちされる。
しかし音量がいかんせん小さいとは言えず、だだもれだった。
耀の混乱ぶりが滲みでている。
そして香くんの顔が赤いのは、怒っているせいだよね。そうだよね。
部屋を出て行く菊、耀、ヨンス。
その場に取り残される、香くん。
耀に袖を引かれたままの姿勢で、静止していた。
皆分別のある大人だから大丈夫ヨー、そんな湾ちゃんの言葉が聞こえた気がした。
――おそらく、風呂場で倒れたから服が濡れて、着替えさせる必要があったんだろう。
湾ちゃんはなにも悪くない……はず。
「…………」
なんというか、なんというか、頭からパーンとクラッカーの中身でも出そうだ。
とりあえず穴を掘りたい。
穴を掘ってその中に今すぐにでも入りたい。
そして埋めて下さい。
それだけが、私の望みです。