第2章 邂逅と眩暈と
「…………………」
ものすごく、ものすごく静かな瞬間が訪れた。
なぜか菊も耀もヨンスも、香くんまでもが揃いも揃って俯いていた。
一方湾ちゃんは、首をこくっと傾げた可愛いポーズで、静止している。
私は微動だに動かない。
いや、動けない。
――ドタンッ
そんな永遠かに思われた沈黙が、ふとやぶられた。
ギョッとして、そちらを見やる。
菊だった。
立ち上がろうとしたのか、ふらついて壁に激突していた。
「だっ大丈――」
「……すみません、私アーサーさんへの報告書が終わっていませんでしたので失礼します公子さんはごゆっくりお休みになっていて下さい」
菊にはあるまじきスピードの早口。
背を向けたままなので、その表情は見えない。というか見れない。
「わっ我も……台所の片付け……終わってな……かったある……」
「あぁぁあ兄貴手伝うぜ!!」
あのーお二方声の調子がおかしいのですがー。