第19章 会議は笑わない
「もう! 急にいなくなってほんっとーにびっくりしたし心配したんだよ!」
フェリちゃんが抱きついてくる勢いで言った。
さりげなく私の両手を握っている。いつ握られたかわからなかったんですけど今。
「待て、お前の気持ちもわかるけどな、まず俺と話をさせろ」
「えええっ!? いや、だ、だっていない間のお互いのこととか、公子ちゃんがなんともないかとか――」
「俺とそいつの間には早急に話し合わなきゃなんねぇ議題があんだよ」
「なんか怖いよアーサー、公子ちゃんになにするつもり?」
「お前は俺をなんだと思ってんだ!!」
若干海賊化しそうな口振りに、フェリちゃんの表情がますます疑いに染まっていく。
「…………」
菊もなにかを言いたそうにそわそわしていた。
遠慮からか、話題を持ち出せないのだろう。
こうなったら――
「じゃんけんで! じゃんけんで決めましょう!」
えええーと微妙な顔の3人。
特にアーサー。ええい、話が進まないんじゃい!
「俺は最後でいい」
本から目を離さずに、ルートは短く言った。
嫌な予感がしないでもない。
さっきのことから考えると、ただ一番長くなりそうだからか?
しかし、私にも都合がよかった。
……ギルのことを話すかどうか、ずっと迷っていたからだ。
「それではお三方、さーいしょーは――」
ブツン
何かが切れた音が耳をつんざき、一瞬にしてあたりが闇に覆われた。