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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第15章 廃マンションにて


「わざわざんなことしなくても……」

「それは着せて欲しいということでしょうか」

「はっはぁ!!? ちがっ、なんでそんな――」

「そんな?」

「なっ……なんでもねえよばかぁ!」

怒鳴られ上着をひったくられる。

どことなく顔を赤らめてらっしゃるが、どうしたのやら。

「大体な! お前何者なんだよ!」

「これは申し遅れました、主人公子という者です」

「いやそうなんだがそうじゃなくて……なんで逃げたんだよ」

「アーサーさんがスコーンを持っていたからなんですが……」

「つかなんで俺を知ってる口振りなんだ?」

「……それには色々ありまして……。アーサーさんこそ私を知ってる口振りで『聞きたいことがある』とか言ってましたよね」

「あー……それは色々あってな……」

……なんだか、話し合いが限りなく平行線を辿っている気がする。

私は仕切り直しとばかりに息を吸った。

「とりあえず、私の話を最後まで聞いてくれますか?」

そう問うと、アーサーは真剣な表情になって首を縦に振った。

私は1回目のトリップから、2回目の故意のトリップまでの概要を説明し始めた。

無論、ところどころ(お風呂場のくだりなど)細かいところは省いた。

表情豊かなリアクションはあったものの、アーサーは終始黙って口を挟まなかった。

私がひとまず言い終えると、アーサーは腕を組んで

「違う宇宙……か……」

と、一言呟いた。



しばらく、フェリちゃんとアルの寝息だけが聞こえた。

私もアーサーも、深く考えこんでいた。



地震や“ラジオをつける”というキーアクション、おそらく周波数も同じだ。

なぜ、“私”が“ここ”に来たのか、または招かれたのか。

“私がいた場所”はどこで、“ここ”はどこなのか。

違う宇宙? 次元?

なにもわからない。

思考を重ねれば重ねるほど、余計に頭がこんがらがってくる。

第一に――



“これは偶発的な出来事なのか?”
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