第13章 at the later lunch time
絶叫が響いたあと、体がひょいと浮き移動し始めた。
かすかに開いた目から見ると、部屋の端、他より明るくなっている場所へ向かっているようだった。
私を抱えている誰かの足音がやむ。
かわりに、カチカチとパネル入力をしている音と、ピピッという承認音が流れた。
そのくりかえしが4、5回続いたことで、 厳重な警備がうかがい知れる。
「それじゃ公子を頼んだある」
「連絡できるようになったら、公子ちゃんの声聞かせてネ」
「任せろ」
「そいつ預けたぜヴェスト!」
「なっ!? 兄さんどこ行くつも――」
「ルート早くっ、エレベーター閉まっちゃう!!」
警告音らしき電子音とフェリちゃんの声が重なる。
黄色いサイレンがミラーボールのように回っていた。
意識が刈り尽くされていく。
それを阻んだのは、右手に触れてきた温もりだった。
「大丈夫」
優しく、力強いフェリちゃんの声。
手のやわらかい感触とともに、全身に染み渡っていく。
――まだ、大丈夫、けど急にまた、私はどうして……
エレベーターが上昇していく。