第3章 恋人同士の日常 ~不二 周助 編~
僕には1年ほど付き合っている可愛くて可愛くて……思わずからかいたくなる恋人がいる。
真っ直ぐな彼女の思考が、たまらなく愛おしくて大好きなんだ。
それでも……今日は泣かせてしまった。でも、彼女が泣いたのは……僕がからかったからじゃなかった。
藤堂『……った。本当に良かった。周助さんが大きな怪我をしたんじゃなくて。』
怪我はしたんだ。嘘じゃない。ただ、小さな擦り傷だったんだ。
本当にホッとした泣き顔を見せられたら、罪悪感でいっぱいになった。
不二『ごめんね。でも、香がそこまで僕を思ってくれているのが分かって嬉しいって言ったら……不謹慎かな?』
真っ赤になって口をパクパクしている可愛らしい表情を見せられたら……ごめんね?
キミを……からかうこと、止められそうにないや。
不二『大好きだよ、香。君以外なんて考えられない。』
そんな言葉を並べては、キミの心を縛る僕。狡いって……言われそうだな。
でも、たった1つ……からかっても、大好きなキミに嘘をついたことは1度もないんだ。
からかわれるのも、【恋人】の特権……?
そんな風に思ってもらえないかな?
藤堂『周助さん……私のこと、本当に好き?』
消えそうな声で、僕を手繰り寄せようとする健気なキミに免じて……。
寒さからキミを守る為に、不安に負けないで僕を繋いでいて貰う為に……。
特別なキミに心を込めて……キミを包み込む僕の腕と、甘いキスをあげるよ。
藤堂『し、周っ!!?』
不二『キミだからキスしたいと思ったんだ。』
普段から、ヤキモチを妬いてしまう僕のことだけは信じてはくれないけど…。
覚悟はいい?
キミは……香は【僕のもの。僕だけのもの。】
僕からは逃がしてあげないから……。