第22章 恋人同士の日常 ~観月 はじめ 編~
いけませんねぇ……このイライラ感。忙しい僕にかまかけて、何故、僕以外の男子学生とツーショットなのですか?
貴女は僕の恋人の筈なのですが…。
それに、その笑顔は僕だけのものだったはず。
そんなことが頭の片隅から消えなくて、少しも作業が捗りません。
全く……僕としたことが、お手上げ状態です。
そう言えば、最近は満足に彼女と話をしていない気がします。だからでしょうか……。
時間は…8時過ぎ。まだ、電話をしても大丈夫。
30分後………
更に、30分……
繋がりません……ずっと通話中です。こんなに長時間、誰と話をして………最近、彼女の周りでよく見掛ける……。
不二『観月さん。ちょっと宿題で分からな(げっ!何か怒ってる!!)……し、失礼しました。』
無言で振り返った僕を見て、裕太くんは直ぐに出ていきました。まぁ、いいでしょう。今、宿題を見てあげられる余裕などありませんから…。
が……その5分後。
部屋の前で、ヒソヒソ声が耳に入ってきました。やがてノックの音と共に、現れたのは裕太くんと柳沢くんと淳くんの3人。
観月『何か、用ですか?』
3人は気まずそうに顔を、見合わせています。
観月『僕は忙しいのですが。用があるのなら、早く言って……。』
3人『ごめん!&ごめんだーね!&すみませんでした!』
観月『何に謝って……。』
3人『宿題をやらなかったから!』
観月『それは初耳ですね……。』
僕の怒りが最高潮になった時、携帯の音楽が流れてきました。画面には、彼女の名前が表示されています。
観月『明日、たっぷりとお小言を言うことにします。今は取り込み中なので。』
3人の目の前でドアを閉めて、直ぐに電話のボタンを押しました。
藤堂『あ、はじめさん?やっと繋がりました。お電話されていたんですか?』
どうやら同じタイミングで、彼女も僕に電話をかけていたようでした。
観月『すみませんでした。少し取り込んでて。何かありましたか?』
藤堂『いえ……はじめさんの声が、どうしても聞きたくてなって。』
単純ですね……貴女のその一言で、僕のイライラは無くなってしまったのですから。