第20章 恋人同士の日常 ~千歳 千里 編~
フト、恋しくなって会いに来たんだけど……香の姿が見つからんばい。
俺がフラりと出掛けた時…香もこんな思いをしているのか。
千歳『それにしても、どこに行ったと?』
小柄で華奢ながらも、バイタリティー溢れるキャラの香は見ているだけで楽しいたい。
可愛いとよ、俺の彼女は。
千歳『しかし……見あたらんばい。』
電話をかけても繋がらず……。
千歳『俺に愛想尽かした…?』
そんな風に考えたらいてもたっても居られなかった。でも、どれだけ探しても……見付けることは出来なかった。
翌朝……いつになく早めの登校。結果的に、昨晩の連絡もなく……。
千歳『こんなに不安になるのなら…。』
とっくの間に、向こうが愛想を尽かしても自業自得なのかもしれんばい。
でも、香を見つけられ……ホッとしたのも束の間、隣りには知らない男。
顔を寄せあっては楽しそうに話をしている。
千歳『香。』
藤堂『あ、千里さん。おはようございます。珍しいですね、2年の教室に来るなんて。』
?『あ、藤堂早くしねぇと!』
藤堂『時間?』
目の前で、彼女を連れていこうとする男。
千歳『…連絡…したとよ。』
しかし、彼女にその言葉は届いていなかった。アッサリと俺の前から消えていった。
財前『あれ?千歳さん。あ、藤堂に会いに?でも、今忙しいと思うっすよ。班毎の発表があって。』
詳しく聞けば、社会の授業で町を調べて発表すると言う課題があるらしい。
更に、携帯を落として修理中。
千歳『話を……嫌、何でもないばい。ありがとう、財前。』
放課後、3年の教室に香が現れた。どうやら、発表は成功したらしい。
藤堂『千里さんが教えてくれた場所を調べたんですよ。先生もすごく誉めてくれました。』
満面の笑顔ばいね。
千歳『今日は時間あると?』
藤堂『勿論です。だから、会いに来たんです。』
小さな彼女の手を引いては、町の中に消えた。やっぱり、彼女がいないと寂しいと。
千歳『好きとよ、香。』
真っ赤になる彼女を見て、俺は幸せをかみしめていた。
財前『千歳さん……やっぱり、部活に…。』