第18章 恋人同士の日常 ~橘 桔平 編~
藤堂『桔平さん!』
可愛らしい声で俺に声をかけてきたのは、目に入れても痛くない程に溺れていると自負できる彼女。
手には、昨日聞いていた【シフォンケーキ】。調理実習で作ったようだ。
橘『調理実習、終わったのか。ほぅっ……柔らかくて旨そうだ。』
俺の台詞に、嬉しそうな顔をする彼女。
橘『しかし、いいのか?俺が貰っても。香は、大のシフォンケーキ好きだろ。』
藤堂『桔平さんはいいんです。きっと、伊武くんも今頃貰っていると思いますよ。』
深司の彼女と香は同じクラスで、仲もいいんだが……。どうやら、色んなことが筒抜けで……たまに、恥ずかしくなる時がある。
まぁ、それも……俺が香を可愛がり過ぎるが所以だろうが。
藤堂『き、桔平さん…くすぐったい…です。』
橘『ん?あ、すまん。お前の髪は柔らかくて触り心地がいいから、つい…な。』
彼女の髪に無意識に触れていた俺。そして…コイツは、少し頬を赤くして…。
あ、何か……痛いヤツだと思われるな。
橘『週末のことなんだが……。』
藤堂『あ、一緒にお料理する話ですね?』
橘『あぁ。昼からなら大丈夫だ。楽しみにしているぞ。』
藤堂『私もです。あ、杏ちゃんは?』
橘『出掛けるそうだ。』
たまに、からかうために俺らに交じることがあるが……やはり、デートは二人がいい。
何せ、妹の前では…その、な。
藤堂『き、桔平さん…。』
橘『ん?あ、すまん!!』
またしても、無意識に……。
橘『可愛い彼女を持つと、どうも……触れたくていかん。気分を害させたな。』
彼女は首を横にふった。
藤堂『そういうのは……二人の時に、いっぱいして下さい!!じ、じゃぁ、また放課後に!』
あ、走って行った……真っ赤になって。
橘『本当に……むぞらしか。』