第17章 恋人同士の日常 ~忍足 謙也 編~
俺の通う学校は【寺】。
彼女は、聖ルドルフのようなクリスチャン…。
いい…のか?
従兄弟の侑士に、メッチャ可愛い彼女が出来てかなり悔しかったんやけど……そんな俺にも、春が来たんや。
何か、ふんわりしてて物腰が柔らかくて……いっつも、俺の話を楽しそうに聞いてくれるんや。
聞き上手って言うんか、あ……今日も一方的に、俺ばっかり喋ってるわ。
忍足『なぁ、今日は香のこと聞かせてくれへんか。何が好きかとか、興味があるもんとか。』
藤堂『う~ん……あ、テニス…やってみたい。』
忍足『テニス?分かった。』
って、1時間後……やっぱり、俺ばっかり喋ってるわ。
忍足『ハァッ……ごめん。今日は、聞き役に回ろうかと思ってたのに。』
藤堂『そうなの?私は、謙也くんのこといっぱい知りたいんだけど…。』
それ……俺に対する殺し文句やろ。
忍足『そう言うてくれるんは嬉しいんやけど…。俺も、香のこと知りたいんや。』
藤堂『う~ん……あ、最近、あんドーナツにはまってるかなぁ。』
忍足『あんドーナツか…。ほな、次のデートの時は、あんドーナツ食べに行こか。』
藤堂『うん。謙也くん、優しいから好き~。』
そんな笑顔で、【好き】なんか言われたら……。
1時間後……やっぱり、俺ばっかり喋ってるわ。
まぁ、ええか…。香も笑顔やし、俺のこといっぱい知りたいって言うてくれたんやしな。
俺の話、食い入るように聞いてくれるんや。ホンマ、ええ子や。
せや、今度…侑士が彼女連れて来るさかい、ダブルデートっちゅうんもええなぁ。
次は、羨ましくない自分が嬉しい。
隣りで、ニコニコしながら俺の顔を見てる。やっぱり、俺にはコイツしかおらへんわ。