第16章 恋人同士の日常 ~赤澤 吉朗 編~
出会ったのは海。あいつの泳ぐ姿は、丸で人魚姫かと思ったほどだ。
藤堂『どうかしたの?』
赤澤『ん?あぁ、海で初めて会った時のことをちょっとな…。』
藤堂『海かぁ……来年は、一緒に行きたいね。』
赤澤『また、アイツらに邪魔されそうだがな。』
藤堂『フフフ…楽しかったね。でも、今度は二人がいいなぁ。』
赤澤『そうだな。って、前回もそれぞれ二人で来ていたんだがな。』
まさしく、鉢合わせ。温水プールでメンバーらと会うとはな。
結果的に、集団デートみたいになって……ま、それはそれで楽しかったんだが。
藤堂『吉朗くんは、やっぱり海だよね。私も吉朗くんみたいに、小麦色に焼きたいんだけど…。』
赤澤『今のままがいいと思うがな。』
藤堂『そぉかな。吉朗くんがそういうなら。』
今日は二人で映画に来たんだが……俺は幻を見ているのだろうか?
藤堂『フフフ…今日も二の舞だったみたいね。』
黙っていた筈なんだが、何故か…。観月や木更津も微妙な表情だ。
彼女たちも苦笑いを浮かべている。
赤澤『香、映画はまた今度にしないか?』
藤堂『いいけど……吉朗くんが観たかったんじゃなかった?』
俺は彼女の手を引いて、近くのボーリング場へと向かった。
映画より、体を動かす方が俺たちには合っている。彼女もどうやら、ヤル気満々なようだ。
サバサバしているコイツとは、初対面の時からウマがあった。
赤澤『あっ……。』
藤堂『あっ…。』
不二『あっ……。』
柳沢『赤澤だーね。』
赤澤『お前ら、二人で来たのか?』
不二『いえ…。』
言いにくそうな不二の背後には、小柄な不二の彼女。
そうか……無理矢理付いてきたんだな。
藤堂『あっ、そう言えば…前の時も、柳沢くんはどうして温水プールに【一人】で来てたの?』
その後……柳沢は、灰と化していた。
すまん、柳沢…。香は、悪気はないんだ。意識が戻ったら、何か奢ってやるから…。