第1章 恋人同士の日常 ~越前 リョーマ 編~
越前『お待たせ。』
なに食わぬ顔で約束の30分後に現れたのは、年下の彼氏の越前 リョーマ。
藤堂『…他に、言うことは?』
越前『ん?言うこと?』
藤堂『…もういい。帰る。』
越前『……ん。』
何か言ったようだけど、昨日から虫の居所の悪い私には…右から左。
藤堂『じゃ、またね。』
越前『ごめん!』
何時もならこんな大きな声は聞けることはない。でもね……さっきも言ったけど、虫の居所が悪かった…ううん、悪すぎたんだ。
理由は……越前君のファンからのやっかみ!!思い出したら……。
越前『な、何で泣いてんの?俺、ちゃんと謝ったけど…。』
珍しく挙動不審な彼氏。いつもなら飄々としているのにね。
藤堂『……もない。』
越前『…何でもないことないでしょ。』
あまり身長差はないんだけど、体つきはやっぱり男の子なんだなぁってこんな時にいつだって思わされる。
ギュッ……抱き締められた私。
越前『…俺、ちゃんと…好きだから。周りに何言われても関係ない。だからさ……香も自信持ってよ。』
藤堂『……。』
もう一回言うけど……虫の居所が悪かった…ううん、悪すぎたんだ。
いつもならここまで言ってくれたら、舞い上がること間違いなしなんだけど…。
越前『…本当、香って…。』
ん?次の言葉がいつまでたってもないから、おずおずと見上げると……ニヤリとした彼氏の目と視線が合わさる。
越前『全く、手が掛かるよね。でも、俺……ぜ~ったい香のこと手放さないから覚悟してて。』
恥ずかしくて死にそうだから、プイッと視線を反らして……ギュッと抱き付いた。
越前『ねぇ……だから、香も俺のこと……何があっても、手放さないでよね。』