第8章 イケメンコンテスト
京ちゃんのスピーチの番がやってきた。
マイクに向かう京ちゃんは、タキシードで髪を軽く固めている。
すごくカッコイイ……。
ステージの上を見上げていると、私とは住む世界が違う人の様に感じる。
ダメダメ、ネガティブなこと考えてちゃダメだ。
「俺が今、この場に立っているのは一人の女の子のおかげです。知っている人もいると思いますが、数ヶ月前までの俺は、デブで、オタクで、ダサい奴でした。
そこにあるフィギュアが目当てで、その子にイケメンになりたいって言ったんです。
その子は俺のためにダイエットメニューを考えてくれて、一緒にファッションの勉強をして、料理を褒めてくれました。
1週間前、彼女と喧嘩したんです。些細なことで、不安にさせて。今日まで仲直りできなくて、コンテストに出るのはやめようかとも思いました。
でも、彼女が俺の為にしてくれたことを無駄にしたくないから……澪奈、聞いてくれてるかな。
俺の外見が変わっても、澪奈がコスプレしなくなっても、俺が好きなのはお前だけだよ。
……大好きだ」