第8章 イケメンコンテスト
K大文化祭は、別名ハロウィン文化祭。
コスプレしていなければ入れないから、あちこちに狼男やらゾンビが溢れている。
その中に一人、見覚えのある人が混じっていた。
白雪姫のドレスに身を包んだその人はちょうど1週間前に会ってからいつでも目で追うようになってしまった、校門の前で会った先輩だった。
「先生の元彼女さん。
こんにちは」
笑顔を向けられて戸惑う。
「私ね、先生に告白しに来たの。
随分外見が変わったけれど、私は初めて会った時から先生が好きだった。
K大に合格したら付き合って下さいって、今日言うの
この前まで先生いつも、あなたのことばかり話していたのに急に話さなくなった。別れたんでしょう?」
意思の強そうな、頭の良さそうな黒い瞳。
白雪姫のドレスもすごく似合っていて、一際目立った。
それでも……。
「元じゃありません。
京ちゃんは私の彼氏です。
今も、これからもずっと」
挑戦的な瞳を睨みつけた時、校内アナウンスが鳴り響いた。
「イケメンコンテスト、最終審査に残った3人の最終スピーチが始まります。皆さん体育館へお集まりください」
「もちろん知ってると思うけど、先生3人に残ってるわよ。
行かなくちゃ」
先輩は体育館の方へ歩き出す。
私も唇を噛んでゆっくりと後を追った。