第5章 服装改革②
「メール、したんだけど」
「ごめん、電源切れてた」
見慣れない鞄を投げ出してベッドに倒れ込んだ京ちゃんは、「あー、疲れた」とため息をついた。
スリムなジーンズに、紺のタンクトップ。羽織った水色のシャツから肩がはみ出してる。
京ちゃんといえば、チノパンによれよれの黄色いチェックのシャツ。
何だかやたらにおしゃれなのはなぜ?
ジーンズも、タンクトップも、シャツも、この前買い物したものとは違う。
「服、どうしたの?」
呆然としてやっと尋ねた私に、大あくびをしながら京ちゃんは言った。
「工場のバイト増やしてて、半分は買って、自分でも作った」
工場のバイトといえば、京ちゃんが高校の時してた服を作る工場。
ひたすらミシンで縫い続けるハードなバイトだけど、コスプレ衣装を作りたい京ちゃんみたいなマニアと、デザイナーを目指すおしゃれな男の子たちが集まるらしい。
「あいつら服に詳しいし、見立ててもらったんだ」