第12章 昇る泡 弾ける想い
「それじゃあ、帰りま…」
教室を出るために、踵を返そうとした時だった。
「…嬉しいよ、ありがとう、だけど、…先生と、生徒だからな。」
「せん、せ…?」
気付けば、私は先生の腕の中にいて。
「先生と、生徒だから」
(我慢してたのに、馬鹿やろう。)
先生が、私の耳元で、おどけたようにそうささやくものだから
私は先生の腕の中から、先生の顔を見上げる。
「本当は、俺から言わなくちゃだったんだけどなあ」
「せん、せ…?」
「…、本当に、愛してる」
溢れる気持ちが先走らないように、かみしめるように、ほんの少し苦しそうに笑って、告げられた一言
私は、先生の胸の中で、大声をあげて、泣いた。
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哀しくて かなしくて
一人で泣くことも辞めたつもりだった
でも深海で、私の恋心は泣いていた
気付かない振りをしてた
でも、今ならわかる。
哀しくて、泣く、なく
そして
嬉しくて、泣く、なく。
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(ほんの少しだけ離れても、気持ちは、きっと。)
深海のリトルクライ
(完)
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