第1章 揺れる青髪に、恋
(夏休みまであと…3週間か)
近づく期末テストの憂鬱さをかき消すように、その先のお楽しみを考えるのが最近の日課になってきつつあった。
先ほど購買で買った紙パックのジュースをずるずると飲みつつ、ボンヤリと中庭のベンチに座る。
「お、ちゃん。良い所に!」
お昼休みを楽しもうとぐっと伸びをした直後、九瓏先生が私の肩をぽんぽんと後ろから叩いた。
「あ、センセ。こんにちは。」
ほんの少し上がった、鼓動の速さに気付かれないように私はけだるそうに先生に挨拶をした。可愛げがないのは、照れ隠しだと気付いてほしいような、欲しくないような…
そんな複雑な気持ちで先生を見ていると、先生は左手の人差し指と中指を立てて、先生自身の唇に付けた。
「…忘れちゃってさ、くれない?」
理事長の息子であり、教師であるはずの人間の発言とは思えないいつものお願いに呆れつつ私は笑った。
「もちろん、私もお供していいなら。」
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