第5章 悲惨な過去
司side
「司さまっ…ん…
だめです、なんで…」
普段は静かな室内は
彼女によってだされる
艶めかしい声が響き渡る。
「花音…愛している
誰にも渡したくない」
なのになんで離れなければならない
なにもいらないのに
…君さえいれば――――――…
俺たちがこうなったのもそう。
全てはあの日から始まった。
――――――――――――――
今から19年前。
俺は読書をするために
さわがしい教室をでて、
学園内にある湖の横の
ベンチに向かっていた。
「ふぅ…やっぱりここが落ち着くな」
俺は人付き合いが苦手だ。
別に教室が嫌いなわけではない。
昔から英才教育をうけていたせいか
友達と遊ぶ、ということをしたことがない。