第3章 すれ違い
カフェテリアに着いて私は
ショートケーキを頼んだ。
「あの…お忙しいのにすいません」
「大丈夫だよ、
それより何があったの?」
私が黙り込んでいると
「話せないなら無理に話さなくていいよ
俺は、環奈さんが元気になってくれれば
充分だから」
優しい…
優しさにまた泣きそうになる
「…ということがあって」
私は今さっき起こったことをすべて話した
「なるほど…」
「…立花さんは私が
財前の娘だから優しくしてくれるんですか?」
「え?」
目をまんまるにして私に返した
「あの…くだらないこときいてすいません」
「優しく、なんてしてないよ
泣いてる女の子ほっとくなんて
男として最低でしょ?
いくら環奈さんが財閥の娘で
狙うにしても環奈さんは環奈さん
本気で好きにならなきゃ何も手出しはしないよ
ましてや、キスなんて…」
「そうですよね…」
「もしかしたら、秋月くんと渋谷くんは似てるのかも」
「それって、どういう…」
「渋谷くんはまだ環奈さんに伝えたいことが
あったんじゃないのかな?」
「え…あ、そういえば…」
私、自分のいいたいことだけ
言って逃げてきちゃった…
「立花さんってなんでもわかるんですね」
「そんなことないよ
男はみんな単純だから」
ふふ、と艶めかしい笑みを浮かべる