第10章 THE HAPPY END
「あんなにいじめっ子だったくせに」
「充分、可愛がってただろ?」
「っ…どこがだよ。
いったいいつから、私のこと…」
「さあな…もう忘れた」
また、唇が優しく触れ合う。
愛しむように見つめられ、
私は素直に、ぬくもりを受け止める。
心地よい、懐かしい温かなぬくもり。
「ん…っ」
次第にキスが深いものへと変わり、
ふたりの身体がソファへと沈んだ。
誠二くんは、ずっと優しかった…
いじめっ子だった時も、
その後も、今も……
私はもう、そんなことは
ずっと前からわかっていた。
言葉にして伝えるかわりに、
私は誠二くんの背中にそっと腕を回した…。