第3章 岩泉双巴の過去
双巴は俺や家族以外の人に口を利いたことがない。
それは言葉がうまく喋れないからだ。
元々喋れなかった訳じゃねーんだけどな。
小さい頃の高熱が原因で障害が残ったって言うべきか?
もう、10年ぐらい経つからな、それなりに喋れるようにはなってる。
『お兄ちゃん、勉強、教えて、欲しい。』
岩「お、いいぞー」
たまに言葉が詰まる。
『私やりたい。』
岩「何がだよ。」
言葉足らず。よくあったことだ。
今は少しずつ追いつけるようにって部屋にこもって本を読みまくってる。俺は努力してる双巴を見てると凄く嬉しいんだけど、嬉しいんだけど・・・。
その努力が報われない時ってあるだろ?
双巴はそういうことがあったんだよ。