第16章 本当の気持ち
何枚か取り終えた後に、アラタが私の耳元で小声で
『ちょっと、正座してくんない?』
と、悪魔声で言ってきた。
正座って、、ただ正座すれば良いのかな?
アラタの思惑なんて知るよしもなく、素直にその場で正座をする。
すると、なにを思ったのか、アラタが私の太ももの上に寝っ転がり出した。
『お!!!膝枕いいねぇえ!カップルぽいねぇ!!』
カメラマンも大興奮のようで、さらに撮影が続く。
『お、生足じゃん』
私だけにしか聞こえないボリュームで、少し意地悪い顔のアラタがこちらを向く。
カメラマンさーん、この意地悪い顔も撮ってくださーい!
アラタが私のお腹の方に顔を向けているせいで、私も変に緊張しちゃうし、みんなに悪魔顔見せれないしで、、、。
この状況を第三者から目線で考えると、本当にただイチャついてるようにしか思えない。
ふと、周りの様子を伺ってみると、真っ先にユウさんと目が合ってしまった。
ユウさんまだいたのね、、、。
この状況見られるの最高に恥ずかしいんだけど、、。
ユウさんはというと、普段となに一つ変わらない表情で、なにを考えているのか全くわからない。
ユウさんが、嫉妬、、、なんてしてくれるわけないよね?
嫉妬してばっかりなのは、私だけ。
なんて違うことばかりを考えていると、
『ねぇねぇ』
とアラタに呼ばれ、耳を傾け少し顔を近くに寄せると
急に、グイッと服の胸元を掴まれ、アラタに少しおいかぶさるような感じになってしまった。
私の長い髪が垂れ下がり、周りからは私たち2人の顔は一切見えていない状況。
そして、顔が近づいてきたかと思いきや、触れるか触れないかの微妙な距離のキス、、、。
アラタってばこんなとこでなにを!?!?!
周りから見えてないとしても怪しすぎるじゃん、わたしたち!!
咄嗟に顔をあげ、真っ先にユウさんの姿を確認したが、そこにはもうユウさんの姿はなかった。
どっからどこまで見たのだろうか、、、。