第2章 【山崎落ち】胃袋を掴め!
放課後の教室の中は、まだざわざわと騒がしい。
その中で、奇抜な髪色の男が2人、顔を寄せ合っていた。
どちらも真剣で深刻な面持ちだ。
とは言え、片方は前髪で目元が隠れて見えないのだが。
「ザキ、ちゃんと結寿ちゃんに合同合宿のこと、説明したの?」
紫色の髪をした男、もとい原は、口元に手を添えて言った。
「いや、説明どころか何も話してねぇ…」
ザキと呼ばれた、赤茶色の髪をした男、山崎は憂鬱そうに言った。
「まずいよ!…花宮の目がいつも以上にガチだったんだよ!」
原は、大きくなってしまった声のボリュームを下げて、あたりを見渡すと、また顔を寄せて言った。
「それは分かってんだけどなぁ…」
未だに憂鬱そうな、渋そうな表情をして言う山崎。
彼らは何の話をしているのか。
それは、もう数週間後に控えている、バスケ部合同合宿のことだった。