第2章 【山崎落ち】胃袋を掴め!
「それくらいなら大丈夫だよ?」
けれど、原の予想を裏切り、結寿は、良い返事を返してしまったのだった。
「えっ…えっ!?春休み短いのに3泊4日だよ?凄い人数だし、絶対忙しくて大変だよ?本当にいいの?」
考え直させようと、原は必死にデメリットを説いた。
「うん!合宿の間、弘君に本来は会えないのに会えるんだもん!それに、たくさんの人に料理食べてもらう機会なんてないし!行きたい!」
にっこりと屈託のない笑顔で言った結寿。
原がいくつも上げたデメリットをはるかに上回るメリットが彼女にはあった。
そう言われてしまえば、もう、原にはどうすることもできない。
「そ、そっか…じゃ、じゃあ、詳しいことはまた今度ね…」
「うん!じゃあね!」
原は、そう言うと教室を後にし、山崎がいる教室に戻った。
「ザキごめぇぇぇん!」
原は、山崎の前に崩れ落ち、話の流れと結果を伝えた。
「あぁ…結寿ならそう言うかもしれないと思ってた…本人が望んでるし、仕方ねぇよ」
そう答えた山崎は原の肩に手を置いた。
「俺も結寿ちゃん守るの手伝うね!」
「あぁ、頼むぜ」
2人は熱く手を組んだ。
その表情は、今までにないほど決意に満ちていた。