第11章 松本潤 × 冬
時刻は7時半。
約束の時間はとっくに過ぎている。
「遅い…」
『じゃ、6時に待ち合わせね』
とっくに1時間半過ぎてる。
久しぶりに彼が誘ってくれたのに…
「帰ろうかな…」
そう呟いた瞬間
カラカラカラーン!
大きな音を立ててドアが開いた。
「いらっしゃいませ。何名ー」
「あ!ごめん!」
彼は私を見つけて駆け寄ってくる。
「…約束の時間、」
「本当にごめん!上司につかまって立ち話させられて!」
「…」
上司につかまったのなら仕方ない、と思ったけど、今日はどうしても許せない。
待ち合わせに遅れたからじゃない。
観たかった映画を見逃したからじゃない。
「…どうした?」
「潤の…バカーー!」
と言って店を飛び出した。