第4章 寂しがり屋のウサコちゃん
「おかえりなさい!龍一さん…この方は」
「ふっ、ただいま」
「…へ?」
へ?なんて素っ頓狂な声を出したのは私ですよ
だって、冷静、真面目、そんな彼がふっと笑って'ただいま'って言うもんだから
「可愛らしい声、ロールキャベツは美味しかったですか?」
あの、自分で言ってること理解できてますかね、彼。
'可愛らしい'…龍一さんの口から出ただなんて。アリエナイ
「くくっ…くはは!」
「な、なんですか?!」
突然笑い出したのは、黒赤青年
ハーフアップにした髪が揺れる
「くくっ、面白いよね!龍くんが酔うと」
「はは、本当昼間の彼からは考えられない言葉が次から次へと口から出てきますね!」
すっと龍一さんを見てみると…
「…」
寝てました。人の肩にもたれて寝るとか、器用だな
「あーあ、寝ちゃったよ龍くん…ちょっと運んでくるね、夕飯のじゃましちゃったかな、ゆっくり食べておいで!」
「いえ!邪魔だなんてとんでもない!」
もう既に歩き出していた黒赤青年の背に答える
お酒の匂いが鼻をかすめる
「あの人が、兎樹也さん…」
「栞〜!!」
廊下を走ってきたのは未来ちゃん
やっぱり走ると前髪跳ねるよね
「なかなか帰ってこないから心配した…あと僕と栞だけだよ、ご飯食べてないの!」
「ごめんごめん!でも、なんで未来ちゃんもなの?」
それはっと言って顔を背ける
心なしか顔が赤い
「ひ、一人で食べる飯はまずいだろ!」
「未来ちゃん…!!」
未来ちゃんがとてもカッコよく見えた瞬間でした。