第38章 かくれんぼ
自分が劣った人間なのだと思うことはよくある。
それを受け入れるのも、もう慣れた。
自分はあの人とは違うのだ。
才能が違うのだ。
ドロドロとした感情に押しつぶされ続ける。
肝心なのは、それを他人に隠せるかどうか。
こんな惨めな自分を他の人に知られてはいけない。
だから言葉で、笑顔で、しぐさで、あらゆる手段で本当の自分を隠すのだ。
もしかしたら、羨ましいと思っているあの人も、本当の自分を隠しているかもしれない。
見せていないだけかもしれない。
ほら、まただ。
あの人も、あの人も、自分も、
言葉で、笑顔で、しぐさで。
自分と正反対の人物を演じている。
その姿に、本当の自分を隠してる。